カジノ候補地は大阪だけ?有力候補や撤退地域の紹介と次カジノ予想

日本におけるカジノの合法化が進む中、注目を集めているのは大阪だけではありません。多くの都道府県がその可能性を模索しており、有力候補地として名前が挙がっていたのは東京や長崎などです。

一方で、かつでカジノ候補地として名前があがっていた一部の地域ではカジノ建設への慎重な姿勢が見られ、撤退が検討または決定されている場所もあります。

日本カジノの候補地

この記事では、『各地域のIR誘致がどんな経過をたどっているのか、今どうなっているのか』気になっているる方のために、最新情報を詳しく紹介していきます!

この記事を読んだらわかること
  • 日本初カジノの場所・開業スケジュール
  • カジノ誘致されるかもしれない候補地
  • カジノ誘致を断念・撤退した候補地
  • 大阪カジノの次の候補地が決まる時期

【決定】日本初カジノができる予定の場所

日本初カジノができる都道府県は大阪府に決定しています。

本項では大阪カジノができる予定の場所やカジノ開業までのスケジュールを解説していきます。

大阪府:夢洲

夢洲

大阪のカジノ候補地は『夢洲(ゆめしま)』です。

夢洲は、バブル期に打ち出された『テクノポート大阪』構想の対象地域や、2008年のオリンピック誘致で選手村候補となっていましたが、いずれもバブル崩壊や招致の失敗で頓挫し、長い間、『負の遺産』として島の大半が未使用地に。

しかし、2025年の万博誘致に成功し、現在は鉄道などの開発も予定され、新しい大阪の観光拠点になることが期待されています。

その流れで夢洲のIR誘致は本格的に進み、2023年4月、国交大臣がIR整備計画を正式に認定。同年9月に大阪府と大阪市は大阪IR株式会社(MGMとオリックス)とIR関連協定等を締結し、2030年秋頃のIR開業を目指しています。

大阪の強みと問題点

【強み】

  • 都市規模と候補地のバランスのよさ
  • カジノ誘致に各団体、住民共に積極的
  • 既に事業者の入札も行われている

大阪は、立地条件・都市規模・候補地など全てのバランスがよく、住民の反対意見も少ないため日本で最もIR誘致が進んでいると言っても過言ではありません。

【課題点】

  • 万博の開催に間に合うかが懸念材料(コロナの影響も少なからず)

これまで、万博前の開業を目指してIR誘致が行われてきましたが、新型コロナの影響で万博前の開業は断念となりました。

大阪のカジノ誘致に関する最新情報

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大阪にカジノができるまでのスケジュール

大阪にカジノができるまでのスケジュールは下記のとおりです。

  • 2023年12月…建設用地の液状化対策工事に着手
  • 2024年夏頃…IR施設の準備工事に着手
  • 2025年春頃…IR施設着工(*大阪万博開催)
  • 2030年夏頃…IR施設竣工
  • 2030年秋頃…カジノIR開業予定

なお、上記スケジュールは2023年12月時点のものです。今後予定が前後する可能性はあります。

【検討中・見送り】カジノ誘致の可能性がある候補地

第二のカジノ候補地はまだ決まっていませんが、候補地に選定される可能性が高い地域はあります。

東京都と長崎です。

本項では二地域の候補地や強み・課題点について解説していきます。

東京都:台場

東京:台場

2024年現在、東京都はIR誘致について検討中の状態です。撤退も推進も表明していません。引き続き今後の動向が注目されています。

東京都は、1999年頃という早い段階から『お台場カジノ構想』として石原元都知事がIR誘致を提唱していました。また、後任の猪瀬元都知事らが積極的にIR誘致を行なっていました。

カジノ法案の成立も元はここから始まっていて、シンガポールで設置されたIR施設も『お台場カジノ構想』からヒントを得ていると言われています。

舛添元都知事が慎重な姿勢を見せたことから勢いが衰え、外資系企業に候補地であるお台場を7年間貸与してからは、計画が白紙に。

後任の小池都知事は、初めの頃はIR誘致に対して及び腰でしたが、現在は臨海副都心の『東京ベイエリアビジョン』を打ち出し、前向きに取り組まれています。候補地はやはり当初のお台場が一番有力ですが、計画が何度か頓挫していたため他の候補地と比べると誘致レースに若干出遅れが生じています。

東京の強みと課題点

【強み】

  • 経済規模は日本最大の都市
  • 観光客の訪問数もトップクラス
  • インフラがあらかじめ整っている
  • 日本全国に旅行客を運ぶ手段がある

東京はやはり交通手段や整ったインフラ、周辺地域の商圏の充実、観光地の充実など、IR設置によって経済効果を生み出す要素が揃っています。誘致に成功すれば、世界トップクラスの観光地になれる可能性を秘めているのが強みです。

【課題点】

  • 計画進行している大阪には一歩劣る
  • 東京オリンピックに力を注いだので余力がない

課題点としては、全国でも早い時期からIR誘致に力を入れてきたものの、知事交代によって勢いが下がり他の候補地に遅れをとってしまっている点です。

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長崎県(佐世保市):ハウステンボス

長崎県(佐世保市):ハウステンボス

2027年のカジノ開業を目標としていましたが、資金調達が不安視されたため、2023年の時点で計画を見送っています。

長崎のIR誘致は、九州の各地域が賛成していて反対意見が少ないこともあり、大阪と並ぶ有力候補の一つです。

特に、観光客数が多い中国や韓国から一番近いため、インバウンド にとっても手軽に訪日できるメリットがあります。しかし同時に、韓国やマカオなど競争率の高いIRが近隣に存在している地域でもあり、観光客の争奪戦となる場所でもあります。

そこで長崎では、佐世保にあるオランダの街を再現した『ハウステンボス』を候補地として提案しました。

単独のテーマパークとしては国内最大でインフラも整備されており、年間300万人以上の来場者数を安定維持するなどの運営実績も高いのが特徴。世界最大級のイルミネーション『光の王国』が既に運営されていて、開発によってさらなる『世界一』『世界初』『オンリーワン』といったブランドを打ち出していく見込みです。

また、IRで集客した後は九州全体の広域ネットワークを作りながら、『観光産業革命』を実現していくことを目指しています。

長崎の強みと課題点

【強み】

  • リゾートとインフラが既にあるため、初期投資が少なく済む
  • 観光客の多い海外都市からのアクセスが良い
  • メッセージ性の高い観光資源が豊富でビジネス層にもアプローチしやすい
  • 誘致賛成派が多い

IR誘致には反対派が多い地域も少なくありません。しかし長崎は賛成派の方が多く、立地条件やインフラも既にある点が注目されています。

【課題点】

  • 九州全体で見ると観光地への各アクセスは必ずしも良くない
  • 経済規模も他の2つほど大きくない
  • 北九州市がIR誘致を検討し始めている

長崎では、IRを中心として九州全体のネットワークで観光業を盛り上げていくことを目指していますが、北九州市のIR誘致検討によって風向きが変わってきています。

長崎のカジノ誘致に関する最新情報

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【中止・撤退】カジノ誘致の候補地だった場所

過去にカジノ誘致の候補地として名があげられた地域をご紹介します。候補地とあわせて中止・撤退理由もあわせてまとめました。

神奈川県(横浜市):山下ふ頭

神奈川県(横浜市):山下ふ頭

2021年9月、神奈川県は市長選の結果カジノ誘致反対派の人物が当選したため、正式にIR誘致撤退を表明しました。

横浜には、みなとみらいや東神奈川、コットンハーバーなど様々な候補地がありますが、MICE施設や観光地として再開発が検討されていた『山下ふ頭』が有力候補地となりました。

マリンタワーや山下公園に隣接する山下ふ頭は、横浜港を代表する埠頭の一つで昭和38年に完成しました。主に東南アジアや中近東に向けた貨物船に対応しています。

横浜市では、IR誘致以前から山下埠頭を再開発構想の対象地域(都心臨海部)としてきていて、MICE施設や観光地・商圏開発のための区画整理にも取り組み始めています。今回はその再開発構想案をIR誘致に引き継いだ形です。

しかし、現横浜市長の林文子氏が市長選から2年間はIR誘致を『白紙』としていたところ、2019年8月に突如IR誘致に踏み切ったため、誘致派と反対派は激しく分かれました。特に、『ハマのドン』として知られる横浜港運協会の藤木幸夫会長は、『カジノなしの横浜港ハーバーリゾート構想』を提唱し、今回のIR誘致に真っ向から反対しています。

港運協会が利権を獲得できない状況が変わらない限り、神奈川・横浜のIR誘致はないとみていいでしょう。

和歌山県:和歌山マリーナシティ

和歌山県:和歌山マリーナシティ

2022年4月20日、和歌山県県議会はIR誘致事業計画である「区域整備計画」を反対多数で否決しました。これにより和歌山のIR誘致は頓挫しました。

和歌山ではカジノ法案成立以前の早い段階から積極的に誘致を検討してきました。

候補地の和歌山マリーナシティは、1994年の『世界リゾート博』の際に設置された人工島のリゾート地です。

ヨーロッパの街並みをイメージして作られた『ポルトヨーロッパ』や『遊園地』、マリンスポーツが楽しめる『ヨット倶楽部』、海を眺望できる『紀州黒潮温泉』など、体験型の観光地が充実また、マグロの解体ショーを見物できる『黒潮市場』や、和歌山で作られた採れたての特産品をお得に味わえる『紀ノ国フルーツ村』など、和歌山限定の味覚も楽しめます。

さらに和歌山は、パラグライダーやスポーツラフティング、マリンスポーツ・クライミングなど山・川・海のほぼ全てのアクティビティ観光が可能です。

昨今、世界では『自然重視のアクティビティ観光』が重視されるようになりましたが、様々なアクティビティ観光ができる和歌山なら、日本の自然の魅力を十分に体験することができます。

和歌山は、万博&IR開業を目指す大阪が近いため誘致戦が激しいように感じられるかもしれません。しかし、近隣にコンセプトの違うIRが設置されることで、相乗効果が発揮されたシンガポールの成功例があります。和歌山県ではその前例に倣い、『大阪&和歌山』への隣接する2つのIR誘致を提唱しています。

ただ現在は誘致積極派だった政治家が弱体化傾向にあるので、今後積極的に誘致活動を再開するかどうかは不明です。

愛知県:中部国際空港島・金城ふ頭

愛知県:中部国際空港島・金城ふ頭

2022年4月、愛知県と名古屋市は新型コロナの影響でカジノ誘致に必要な準備が整わず、事実上誘致を断念しました。

愛知県には、愛知県常滑市の『中部国際空港』と、名古屋市に位置する『金城ふ頭』の2つの候補地があります。

『中部国際空港』は伊勢湾海上の人工島に位置する24時間運用可能な国際空港。『金城埠頭』は名古屋市港区の埠頭です。いずれも居住者が存在しないため、IR誘致で懸念されている治安の悪化の心配も少ないと考えられています。

ただし金城ふ頭については、積極姿勢を見せていた名古屋市の河村市長が「用地の探索が難航している」ことを理由に、「三重県を応援したい」と消極的な立場に転じました。また中部国際空港についても、新政あいち/立憲民主党から推薦された大村知事は、推薦の政党からIR誘致への慎重姿勢を要請され、結果的に両地域ともIR誘致を断念しました。

北海道:苫小牧市・留寿都村

北海道

2019年、環境に配慮しながらのIR設置が不可能だということで、北海道自体が誘致レースから正式に撤退を表明しました。

北海道で候補地にあがっていたのは、アイヌ文化が根付く釧路や、既にリゾート地としての実績がある留守都村、そして苫小牧市です。特に、苫小牧市はアクセスの良さや良好な気候条件から、有力な候補地として上がっていました。

地方創生の切り札としてIR誘致が議論されてきましたが、2019年、環境に配慮しながらのIR設置が不可能だということで、北海道自体が誘致レースから正式に撤退を表明。同年12月には現職議員が逮捕された汚職事件が北海道に絡んでいたこともあり、北海道がIR誘致に再度参入するかは不透明です。

千葉県:幕張

千葉県:幕張

2020年、台風被害の復旧を優先するためIR開発に十分な時間が取れないことや、IR誘致による経済効果などを総合的に見直した結果、千葉県は誘致を見送る形となりました。

『東京ディズニーランド』『鴨川シーパーク』など、テーマパークやMICE施設が充実している千葉も、以前はIR誘致を行なっていました。

千葉県の中でも候補地となっていたのは『幕張新都心』です。幕張新都心は、成田空港・羽田空港のほぼ真ん中に位置し、各空港や東京都内から車で30分程度で行き来できるアクセスの良さが魅力。

都内へ通勤するワーカーの衛星都市であり、数多くの企業や商業施設も立ち並ぶビジネス街としての機能も備えています。また、千葉ロッテマリーンズの本拠地である『千葉マリンスタジアム』やMICE施設である『幕張メッセ』などを有し、東京オリンピック・パラリンピックの競技会場にも指定されました。

現在千葉は誘致を見送っているものの完全撤退の意向は示していないので、 今後状況が好転すれば候補地として再び手を挙げる可能性は残されています。

沖縄:海洋博公園(美ら海)

沖縄:海洋博公園

知事や地元の強い反対により、カジノ誘致は申請しないという姿勢を継続しています。

沖縄の候補地は、美ら海水族館で有名な『海洋博公園(美ら海)』『普天間基地』が移転した後の跡地ではないかと言われていますが、正式には決定していません。

なぜなら沖縄のIR誘致では、景気の低迷や外国人観光客数の伸び率の悪さだけでなく、政府や様々な意向が絡んでいると考えられているからです。

元々沖縄では、石原元都知事が1999年頃に『お台場カジノ構想』を提唱する以前の1992年頃からカジノ導入の動きがありました。

沖縄は観光業以外の産業が非常に少なく、観光収入以外は米軍基地への物資販売や地代などの収入に頼っている部分が大きいです。県内で米軍基地の移設を求める声も大きいですが、県外へ移設してしまうとこれまでの収入がなくなるため、財政悪化の可能性も否めません。そのため、自立する手段としてカジノ導入が唱えられてきたのです。

仲井真前知事の時代は、経済悪化の懸念からカジノ導入が積極的に勧められており、知事が交代した2015年頃にはUSJが沖縄進出やカジノ参入にも意欲的でした。しかし、翁長前知事がIRや基地移転に反対したことで計画は頓挫。さらにIR反対派の玉城知事が当選したことで、住民の反対意見が表面化しました。

世界トップクラスの観光資源はあるものの、誘致反対派が大多数を占めるので、今後誘致が再検討される可能性も低いとみていいでしょう。

大阪の次のカジノ候補地が決まるのはいつ?

初カジノが大阪に決定したばかりなのでまだ早いかもしれませんが、「大阪の次のカジノ候補地は?」と気になっている人もいるのではないでしょうか。

結論からいいますと、大阪カジノが2030年秋頃予定どおり開業できれば、2032年~2034年頃には決まる可能性が高いでしょう。

というのも、大阪カジノが決まるまではIR推進法(2016年)成立から約7年かかりましたが、大半の時間は法整備に費やしており、候補地やIR事業者の選定には4年もかかっていません。既に撤退を表明している候補地も多いため、候補地の決定に4年もかかることはないでしょう。

ただ各地域も大阪カジノの動向を見極めてから誘致活動を進めるか否かを最終決定したいと思われるので、具体的に話が進むのは大阪カジノの運営実績が見えはじめる2032年頃になるのではないかと予想されます。