大阪IR用地の住民監査請求は「合議不調」市民団体は住民訴訟へ向けて動く

12月に発表された大阪IR用地の鑑定額が不当であるとし、大阪の市民団体は2月に住民監査請求を行いました。

約1ヶ月に渡って監査が実施されましたが、監査委員の意見は最後まで一致せず、最終的に「合議不調」の結論が出されました。これを受け、市民団体は住民訴訟の考えを示しています。

大阪IR用地を巡る住民監査請求と市民団体の動向についてまとめていきます。

大阪IR用地を巡る住民監査請求は「合議不調」と発表

大阪IR用地の不動産鑑定額が4社中3社で一致した件について、大阪IRに反対する市民団体は違法性を主張した上で住民監査請求を行いました。住民監査請求の内容は、大阪市とIR事業者が結ぶ賃貸借契約の差し止めです。

監査委員会は、不動産鑑定額の一致に対して「不自然な印象はある」と指摘。しかし、談合や不正については認められないと結論付けています。

IR用地の賃料が適正であるかどうかは、4人の監査委員の間で意見が分かれています。最後まで意見はまとまらず、最終的に「合議不調」の結果が発表される運びとなりました。

住民監査請求は合議不調に終わったため、市民団体の要求である賃貸借契約の差し止めは実施されません。

大阪市の松井市長は「我々の主張が委員の総意として認められたので、ある程度は良かったんじゃないかと思う」とインタビューで回答しています。

監査請求をした市民団体は訴訟を起こす考え

住民監査請求の結果を受け、市民団体は「疑問が多く残る状態に終わっている」と批判した上で住民訴訟を起こす考えを示しました。住民訴訟の内容は、住民監査請求と同様に賃貸借契約締結の差し止めです。

4月頃には大阪地裁へ住民訴訟を起こす方針を発表しています。

なお、大阪府・市は3月15日にIR誘致の住民投票条例案を反対多数で否決しています。

反対票の多くはIR推進派の「維新の会」が占めており、IR誘致に住民の意思が全く反映されないことも不満に繋がっているようです。

大阪ではIR誘致に反対する声が至る所で挙がっています。市民からどのように理解を得るのかは、IR誘致を進める上で大きな課題となるでしょう。