東京はIR誘致レースで遅れ気味!しかし着実に検討は進む

日本で先駆けてIR誘致を行なってきた東京は、知事交代などで誘致の頓挫を経験しました。

現在は小池氏が都知事に就任し前向きに検討されていますが、過去の頓挫が影響し、誘致レースのスピード感では他の候補地に遅れをとっていました。

しかし、新型コロナウィルスの影響により政府の基本方針案の公表が延期されたため、出遅れていた東京も誘致に間に合う可能性が高まっています。
また、2020年7月の都知事選や、延期されていた政府の基本方針案が10月に公表されるなど、東京のIR誘致に関わる状況も変化してきています。
ここでは、こういった東京都の現在までの動向をわかりやすく解説していきます。

7月の都知事選では小池氏が366万票で圧勝

新型コロナウィルスが全世界に多大な影響を及ぼす中、2020年7月に都知事選が行われました。今回の都知事選では、最終的に小池氏が366万票で圧勝。
投票数順に、5名までの各候補者の情報とIR誘致に対する立ち位置を以下にまとめました。

候補者名 所属 投票数 IR誘致
小池百合子 無所属,現職 3,661,371票 中立
宇都宮健児 無所属 844,151票 反対
山本太郎 れいわ新選組 657,277票 反対
小野泰輔 無所属 612,530票 賛成
桜井誠 日本第一党 178,784票 反対

他の有力候補者が反対・賛成に別れているのに対し、小池氏はメリット・デメリットを総合的に検討していくという中立の立場をとっています。

小池知事前任中も調査やIR事業者との面談などが行われる

再選後もIR誘致について「検討中」として明言を避けている小池知事ですが、前回任期中に依存症対策などIR誘致のための調査は幅広く行われていました。

また日本共産党・しんぶん赤旗による取材では、以下のことがわかっています。

・2016年4月〜2019年2月:都がIR事業者6社と17回の面談
・2016年12月〜2018年3月:「森ビル」「フジテレビ」「三井住友銀行」の3社が、IRを含む開発計画提案書を提出

小池知事は現在も具体的な立場を示していませんが、こういった誘致のための動きは進んでいるので、知事の判断次第で誘致がスピーディーに進む可能性も考えられます。

『アジアヘッドクォーター特区』開発にIR誘致を検討

上記の「森ビル」「フジテレビ」「三井住友銀行」の3社『アジアヘッドクォーター特区地域競技会』の会員となっています。

実は東京のIR誘致にはこの『アジア ヘッドクォーター特区』が大きなポイントとなっています。

『アジアヘッドクォーター特区』とは?

『アジアヘッドクォーター特区』とは、外国企業を誘致して東京の成長を促すため、特別な優遇制度などを整備できる特区の事です。
2011年に国の指定を受け、以下の6エリアで外国企業の誘致が進められています。

【区域】
・東京都心・臨海地域
・新宿駅周辺地域
・渋谷駅周辺地域
・品川駅・田町駅周辺地域
・羽田空港跡地
・池袋駅周辺地域

具体的には、アジア圏の業務統括拠点・研究開発拠点、コンテンツ・クリエイティブなど様々な誘致を目指し、東京の国際競争力を向上させるのが目的です。

都は、「森ビル」「フジテレビ」「三井住友銀行」の3社などが提出した開発計画提案書内容を、このアジアヘッドクォーター特区の次期計画に盛り込むかどうか検討しています。

臨海副都心の「東京ベイエリアビジョン」(仮称)策定でIRが提案される

また都は、『アジアヘッドクォーター特区』の中の東京都心・臨海地域の青写真となる『東京ベイエリアビジョン』(仮称)を2018年7月20日に打ち立てました。
このビジョンは、東京2020オリンピック以降を見据えたベイエリア全体のまちづくりを検討するもので、2018年10月18日には官民連携チームが設置されています。

現在は策定が行われており、2019年10月21日の最終提案で官民連携チームにより、お台場近隣の『青海エリア』へのIR誘致が庁内検討委員会に提案されました。
この提案を受けて、2019年10月〜2020年2月まで都の港湾局による『青海地区サウンディング調査』が行われ、32事業者によってIRも含む107提案がされています。

こういった動きを含め、最終的に小池知事がどのような判断を下すのかが焦点となっています。