カジノと賭博は何が違うのか?
競馬やパチンコの違法性の違いまで解説

2016年12月、ついに日本初となるカジノ法案(正式名称『Intergrated Resort 推進関連法案』通称『IR推進法』)が成立・施行されました。

この法案により、MICE施設やレジャー施設、ホテル、テーマパーク、商業施設などが含まれる統合型リゾート施設(IR)設置が推進されていきます。
そして、IR施設のわずか3%の敷地面積にカジノが併設される予定となっています。

しかしこれまで賭博が違法とされてきたにも関わらず、限定的であるにせよカジノが合法的に設置できるのか?と疑問に思う人も少なくないでしょう。
今回は、そんな疑問に対してカジノと賭博、そして賭博の違いや違法性などを詳しく解説していきます。

この記事を読んだらわかること
  • カジノ法案の位置付け
  • 公営競技と違法賭博の違い
  • パチンコ・スロットの位置付け
  • 賭博の事例

今回のカジノ法案は公営競技と同じ位置付け

導入でも触れましたが、今回のカジノ法案はカジノ併設が特別に認められた統合型リゾート(IR)の設置を認めるもの。
特定の個人や企業が儲けるためではなく、長引く景気の低迷や少子高齢化への経済対策で、国策として導入されます。

この法案によってパチンコ店やゲームセンターなどのように、個人や企業によってあちらこちらにカジノ設置が可能となるわけではありません。
国が認めた地域と事業者が認可されたIR施設で運営する場合のみ許可され、その収益は公益のために使われます。

つまり今回のカジノ法案は、胴元が儲けるための賭け麻雀や野球賭博といった違法賭博ではなく、その収益を社会のために還元する、競馬や協定などの公営競技と同じ位置付けとなるのです。

公営競技と違法賭博の違い

日本で現在公営競技として認められているギャンブルは、以下の6種類です。

  • 競馬
  • 競輪
  • 競艇
  • オートレース
  • 宝くじ
  • スポーツ振興くじ

本来は賭博行為は刑法で禁止されていますが、こういった公営競技が国に正式に認められるようになった経緯には、戦後混乱期の畜産業・各事業・地方自治体などの復興策がありました。
戦後直後の財政難を克服すべく、各ギャンブルを例外として認める特別法が成立していき、公営競技となったのです。

公営競技は、地方公共団体や国など公的機関が胴元となって運営するギャンブルのことで、収益は主に公共事業など公益のために使われます。
また、民間事業者に業務を委託できる改正案なども成立された過去があり、今回のカジノ法案のカジノ導入も、公営競技の枠組みに当てはめられるのです。

ちなみに、カジノ法案ではカジノ設置に当たり以下の特徴があります。

  • 日本全体の経済復興を目指すことがメイン
  • 収益は、IR施設への再投資や公共事業などに還元される

野球賭博・賭け麻雀など公営競技以外は全て『違法賭博』

上記でも分かる通り、国が正式に許可を出していないギャンブルと、胴元が公的機関でないギャンブルは全て違法賭博に当たります。

例えば、野球賭博は特別法などで許可されていないため違法です。
これは私財での賭け麻雀や賭け花札なども例外でなく、1円や2円と言った低額掛け金であっても厳密には違法となります。
また、競馬や競輪が特別法で許可されていると言っても、公的機関でなく一般の企業や個人が胴元となって運営したり、そういった場所で賭けをすると違法となります。

違法賭博を行うと運営者だけでなく賭博をした客側も逮捕されるので、ギャンブルを行う際には、そのギャンブルが合法なのか違法なのか?に十分気をつける必要があります。

パチンコやスロットは違法に当たらないのか?

ちなみに、パチンコやスロットは国から許可されたギャンブルではなく、胴元が公的機関でもありません。それでも摘発されずに全国各地で運営できるのはなぜか?疑問に思う人も多いでしょう。

賭博罪は、勝った際の景品を現金や有価証券とした場合に摘発対象となりますが、パチンコやスロットは3店方式という方法で景品を使っています。

3店方式とは、以下のサイクルでパチンコホール・景品交換所・景品問屋の3店によって景品と現金を交換可能にした方法です。

  • パチンコホールで出玉を景品と交換
  • 景品を別法人の景品交換所で現金と交換
  • 別法人の景品問屋が景品交換所から景品を仕入れ、パチンコホールに卸す

それぞれの店舗が完全に別法人であるため、同店舗内で換金されたとはみなされず違法にはなりません。
実質的には換金行為ではないか?との意見もありグレーゾーンとなっていますが、この方式が生み出された当初は戦後の未亡人や障害者の雇用促進という大義名分もありました。

では、ここでどのギャンブルが合法で、どのギャンブルが違法なのかをまとめていきましょう。

ギャンブル 違法性
競馬・競輪・競艇・オートレース 合法
宝くじ・スポーツ振興くじ 合法
パチンコ・スロット グレーゾーン
ブックメーカー グレーゾーン
オンラインカジノ グレーゾーン
賭け麻雀・野球賭博 違法
闇カジノ・裏カジノ 違法
バカラ賭博 違法

 

賭博に当たる行為や事例

上記の表で違法とされたギャンブルのうち、実際どのように違法とみなされて摘発されるのかを紹介していきます。

バカラ賭博の存在

芸能人やスポーツ選手などが逮捕される事件で『バカラ賭博』という名前を聞くことがあります。

『バカラ』とは、運を試すトランプゲームの一つ。『バンカー』と『プレイヤー』2つの空想上の役割にカードを2枚ずつ配り、どちらが勝つか?引き分けになるか?などを当てるゲームです。
勝率がほぼ2分の1という明快なルールで、世界中のカジノで遊ぶことができます。

また、特殊な技術や知識がなくても、勝てたり負けを取り返して大勝ちできる可能性もあるゲーム性から、多くの人が熱中しやすいギャンブルと言えます。

しかし、日本の法律でバカラ賭博は合法化されておらず、国が運営者に許可を出すこともありません。
そのため、国内で行われるバカラ賭博は全て違法となり摘発されるのです。

これからカジノ法案ができたことで、IRに設置されるカジノでバカラが行われる可能性はあります。
しかし、あくまでも『国が認めた事業者が運営するIRに設置されたカジノ』という特例があるため、IR以外で行われるバカラは違法となると考えておきましょう。

これまでバカラ賭博で摘発された事例などは、以下の記事で詳しく紹介しています。

「バカラ賭博」の詳しい解説を見る

違法な闇カジノ・裏カジノの実態

上記のバカラ賭博は、闇カジノ・裏カジノなどで行われるケースが多いです。

闇カジノ・裏カジノとは、違法にカジノ業を運営している店舗のことで、大きい会議室ほどの広さから立ち飲み屋程度の小規模なところまでと様々。

暴力団が運営していることも多く、摘発を逃れるために頻繁に拠点を移動したり、紹介制で来店客を絞ったりしていて、来店しただけで違法となります。
また、法的な規制が全くないため遊んでいてもディーラーがイカサマをしたり、勝利金を換金できないなどの実態もあります。

対して本場カジノは、国から営業許可が出されていて法律によって規制されています。
そのため、実際にプレイをしても捕まることがありません。イカサマなどなく公平なゲームで遊ぶことができます。

以下の記事では、闇カジノ・裏カジノのさらに詳しい実態を解説しています。

「闇カジノ・裏カジノの実態」の詳しい解説を見る

【まとめ】カジノと賭博の違法性を詳しく知っておいて損はナシ!

カジノ法案の成立によって、これまで違法・合法ギャンブルについてうやむやだった人も、その違いに疑問を持つことが増えてきました。

元々、日本ではギャンブルが禁止されていましたが、戦後混乱期の経済復興や反社会勢力の取締強化という大義名分で、特例として認可されてきた歴史があります。
そして、そのように国から認められたギャンブルは、あくまでも収益が公益に使われることが条件となっていました。

対して違法賭博は反社会勢力などの資金源となっていたり、一部の人だけが儲かるようなイカサマがあったりと、公平性や公益性がなく逮捕される危険性があります。

違法賭博は、知人などから誘われて遊び始めるケースがほとんどです。そのため、こういった知識をしっかり持っておくことで、自分の身も守れるようになるのです。

この記事のおさらい
  • カジノ法案で許可されるカジノは、公営競技と同じ位置付け
  • 国が認めているギャンブル以外は違法賭博なので注意
  • パチンコのようにグレーゾーンのギャンブルもある