日本のカジノ候補地一覧

2016年12月、ついに日本初となるカジノ法案(正式名称『Intergrated Resort 推進関連法案』通称『IR推進法』)が成立・施行されました。

現在まで候補地として名乗りを上げているのは、東京・神奈川(横浜)・愛知・大阪・和歌山・長崎・沖縄・北海道・千葉の9箇所です。

中でも大阪、長崎、和歌山の3県は2021年現在、事業者の選定まで完了しており、このまま順調にいけばカジノ誘致の確定エリアに決まりそうな勢いを誇っています。

IR誘致が決定すればその地域は大規模な開発が行われ、経済復興や活性化にも繋がっていくでしょう。

この記事では、『どの地域にIR施設ができるのか?』と気になっているる方のために、現在まで名乗りを上げている候補地の詳細や最新情報を詳しく紹介していきます!

この記事を読んだらわかること
  • 各候補地の最新情報
  • 各候補地の概要
  • 各候補地の強みと課題点

大阪

西日本最大の都市である大阪は、古くからアジアと日本全国を結ぶ国際都市です。

古来から大阪へは新技術や文化がアジアから輸入され、日本全国の生活物資や珍味などが大阪に集まってアジアに輸出された物流の中心地でした。

そのため、常に人やものの行き来が行われる、活気のある街として発展しました。

現在も、空港・鉄道・高速道路・港など、全てのアクセス手段が整備されて日本全国と世界を繋いでおり、訪日外国人に人気の地でもあります。

こういった背景から『天下の台所』とも呼ばれており、生活物資や珍味を販売する商店などで常に賑わっています。

また食や買い物だけでなく、歴史・伝統文化・テーマパーク・イベントなど学びや遊びが楽しめる場も充実。
伝統的に受け継がれてきた文化だけでなく、常に新しいものを受け入れてきた地域柄、伝統文化と新しい文化が同時に楽しめるのも特徴です。

首都が東京に移ってからモノづくりの街へと変化した大阪では、世界が注目する研究機関や企業も集結するようになり産業の面でも注目されるようになりました。

しかし、現在は景気の低迷や少子高齢化の影響も受けています。
2025年に控えている大阪万博やIR誘致で、大阪を含む関西圏の経済復興が期待されています。

大阪の候補地は『夢洲』

大阪は、IR誘致先として国から有力な候補地としてみられていて、統一地方選でもIR推進派の知事・市長が当選しました。
また、事業者もMGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの共同グループが単独入札し、誘致に勢いがついています。

MGMリゾーツ・インターナショナルは、米国内やマカオの様々なカジノ施設を手がけているラスベガスの企業で、大阪のみにコミットメントしています。

そんな大阪の候補地は『夢洲』でほぼ確定しました。

夢洲は、バブル期に打ち出された『テクノポート大阪』構想の対象地域や、2008年のオリンピック誘致で選手村候補となっていましたが、いずれもバブル崩壊や招致の失敗で頓挫しました。
その間、『負の遺産』として島の大半が未使用地となっていました。しかし、2025年の万博誘致に成功し、現在は鉄道などの開発も予定されています。

また、元々ゴミ処理場として作られた人工島で住民がいないと言う特徴から、治安の悪化などの懸念材料が少ないのがメリットです。

夢洲へのIR誘致が成功した後は、京都・奈良・滋賀・兵庫・和歌山などへ1時間程度で行き来できることを目標に、さらなるインフラが整備がされていく見込みです。

大阪の強みと課題点

【強み】

  • 都市規模と候補地のバランスのよさ
  • カジノ誘致に各団体、住民共に積極的
  • 既に事業者の入札も行われている

大阪は、立地条件・都市規模・候補地など全てのバランスがよく、住民の反対意見も少ないため日本で最もIR誘致が進んでいると言っても過言ではありません。

【課題点】

  • 万博の開催に間に合うかが懸念材料(コロナの影響も少なからず)

これまで、万博前の開業を目指してIR誘致が行われてきましたが、新型コロナの影響で万博前の開業は断念となりました。
スケジュールの延期で、万博後の開業となる可能性も高いと予想されます。

大阪のカジノ誘致に関する最新情報

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和歌山

広大な自然に恵まれている和歌山は、候補地の中でも最も日本の自然を堪能できる地と言えるでしょう。

梅や柑橘類の産地として有名で『フルーツ王国』とも呼ばれています。また、沖縄やハワイに匹敵するくらいの美しい海に面しているだけでなく、黒潮もあるため山の幸だけでなく新鮮な海の幸も存分に楽しむことができます。

和歌山県は豊かな自然の恵みのほか、和歌山城や世界文化遺産・国宝など歴史を感じる観光地も豊富です。

和歌山・三重・奈良にまたがる『紀伊山地の霊場と参詣道』は世界遺産に登録され、パワースポットとしても人気で登山客や温泉客が多く訪れます。
また、和歌山の海は透明度が非常に高く、石英の砂浜が特徴の白良浜や海亀の産卵地として有名な千里の浜などがあります。
さらに、京都・大阪・奈良などに隣接し、国内線空港・高速道路・鉄道も整備されていてアクセスしやすいという特徴も注目点です。

和歌山の候補地は『和歌山マリーナシティ』

和歌山ではカジノ法案成立以前の早い段階から積極的に誘致を検討してきました。現在、IR設置を予定している候補地は『和歌山マリーナシティ』でほぼ決定しています。

和歌山マリーナシティは、1994年の『世界リゾート博』の際に設置された人工島のリゾート地です。
ヨーロッパの街並みをイメージして作られた『ポルトヨーロッパ』や『遊園地』、マリンスポーツが楽しめる『ヨット倶楽部』、海を眺望できる『紀州黒潮温泉』など、体験型の観光地が充実

また、マグロの解体ショーを見物できる『黒潮市場』や、和歌山で作られた採れたての特産品をお得に味わえる『紀ノ国フルーツ村』など、和歌山限定の味覚も楽しめます。

さらに和歌山は、パラグライダーやスポーツラフティング、マリンスポーツ・クライミングなど山・川・海のほぼ全てのアクティビティ観光が可能です。
昨今、世界では『自然重視のアクティビティ観光』が重視されるようになりましたが、様々なアクティビティ観光ができる和歌山なら、日本の自然の魅力を十分に体験することができます。

和歌山は、万博&IR開業を目指す大阪が近いため誘致戦が激しいように感じられるかもしれません。
しかし、近隣にコンセプトの違うIRが設置されることで、相乗効果が発揮されたシンガポールの成功例があります。
和歌山県ではその前例に倣い、『大阪&和歌山』への隣接する2つのIR誘致を提唱しています。

このコンセプトには海外のIR事業者も注目しており、パリやカンヌなどでカジノ事業を手掛けるフランス大手『バリエール』は、早々と和歌山にオフィスを設置して参入意欲を見せています。

和歌山の強みと課題点

【強み】

  • 大阪の近隣であるためセットとして候補に挙がっている
  • 主要の関西国際空港からのアクセスが良好
  • 日本の魅力を伝えるディープな体験型観光が提供可能

大阪とのセット誘致を目指している和歌山は、大阪IRと和歌山IRのIR間移動などを可能にするなど、かなり具体的な構想案が出来上がっています。

【課題点】

  • 経済規模が小さく、大都市ほど見込めない

対して、経済規模は大都市と比べて小さいので、大阪とのセットなく単独での誘致は厳しいと言えるでしょう。

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長崎

古来からアジアや諸外国との交流地であった九州の北西部に位置する長崎は、海に面し国内でも最も多くの島を有する県です。

旧石器時代や弥生時代などの出土した遺跡、幕末・龍馬の足跡、戦時中の史跡など、日本を語る上で重要な歴史的建造物が多いのが特徴。
また、『潜伏キリシタン』の歴史やアジアとの異文化交流が多かったため、日本でありながら異国情緒あふれる街並みを楽しむこともできます。

長崎は自然も豊かで、山・川・海・島・半島・火山地帯といったそれぞれの特徴を全て併せ持ち、ユネスコから『世界ジオパーク』に認定されました。
こういった長崎独特の景観はドラマのロケ地や漫画の舞台ともなっており、ロケ地や舞台巡りをするファンも多いです。
さらに長崎は、伝統工芸や祭り・ご当地グルメなど、様々な伝統文化を楽しみながら訪日外国人に日本を深く知ってもらえる環境が揃っています。

長崎の候補地は『佐世保 ハウステンボス』

長崎のIR誘致は、九州の各地域が賛成していて反対意見が少ないこともあり、神奈川・大阪と並ぶ有力候補の一つです。
特に、観光客数が多い中国や韓国から一番近いため、インバウンド にとっても手軽に訪日できるメリットがあります。
しかし同時に、韓国やマカオなど競争率の高いIRが近隣に存在している地域でもあり、観光客の争奪戦となる場所でもあります。

そこで長崎では、佐世保にあるオランダの街を再現した『ハウステンボス』を候補地として提案しました。
単独のテーマパークとしては国内最大でインフラも整備されており、年間300万人以上の来場者数を安定維持するなどの運営実績も高いのが特徴。
世界最大級のイルミネーション『光の王国』が既に運営されていて、開発によってさらなる『世界一』『世界初』『オンリーワン』といったブランドを打ち出していく見込みです。

また、IRで集客した後は九州全体の広域ネットワークを作りながら、『観光産業革命』を実現していくことを目指しています。

長崎の強みと課題点

【強み】

  • リゾートとインフラが既にあるため、初期投資が少なく済む
  • 観光客の多い海外都市からのアクセスが良い
  • メッセージ性の高い観光資源が豊富でビジネス層にもアプローチしやすい
  • 誘致賛成派が多い

IR誘致には反対派が多い地域も少なくありません。しかし長崎は賛成派の方が多く、立地条件やインフラも既にある点が注目されています。

【課題点】

  • 九州全体で見ると観光地への各アクセスは必ずしも良くない
  • 経済規模も他の2つほど大きくない
  • 北九州市がIR誘致を検討し始めている

長崎では、IRを中心として九州全体のネットワークで観光業を盛り上げていくことを目指していますが、北九州市のIR誘致検討によって風向きが変わってきてきます。

長崎のカジノ誘致に関する最新情報

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愛知

日本三大都市の1つである愛知県は本州のど真ん中に位置し、中部地方で最も人口が多い県です。

昔から伝統工芸品が作られてきたため職人が多く、日本や世界を支える『モノづくり王国』として発展してきました。特に世界の『トヨタ』の本社がある地域として広く知られています。
また、工業地帯などで多くの外国人労働者を雇用してきており、県が多文化共生を推進していることもあってインバウンドへの対応力も抜群です。

交通では、中部国際空港(国際線)や県営名古屋空港(国内線)、東海道新幹線の全列車が停まる鉄道、高速道路、港湾と陸・海・空のアクセス手段が非常に充実していて利便性が高いのが特徴。

さらに観光地としても、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の出身地であるという歴史背景や建造物、山・川・海という自然豊かな景観、活気のある祭りなどもあり非常に優れています。
そんな愛知県では、2016年12月頃から『MICEを核とした国際観光都市』についての施策を進めていて、国と県との方向性が一致している点からIR誘致が検討されています。

愛知の候補地は『中部国際空港』と『金城埠頭』

現在愛知県には、愛知県常滑市の『中部国際空港』と、名古屋市に位置する『金城埠頭』の2つの候補地があります。

『中部国際空港』は伊勢湾海上の人工島に位置する24時間運用可能な国際空港。

『金城埠頭』は名古屋市港区の埠頭です。
いずれも居住者が存在しないため、IR誘致で懸念されている治安の悪化の心配も少ないと考えられています。

ただし金城埠頭については、積極姿勢を見せていた名古屋市の河村市長が「用地の探索が難航している」ことを理由に、「三重県を応援したい」と消極的な立場に転じました。
また中部国際空港についても、新政あいち/立憲民主党から推薦された大村知事は、推薦の政党からIR誘致への慎重姿勢を要請されており、まだ正式に誘致を表明していない状態です。

現在は県がIR誘致についての意見募集をしている段階で、2020年6月以降に誘致するかどうかが決定される予定です。

愛知の強みと課題点

【強み】

  • カジノ誘致が先行している3都市の一つ
  • 政府が推薦しているエリア
  • 東京に次ぐ経済水準の高い都市
  • 交通・観光資源が豊富

愛知県は政府と県との方向性が一致していて、政府の推薦を受けているのが大きな強みとなっています。

【課題点】

  • 県内(地元)からの反対が多い
  • 知事や市長が慎重姿勢
  • 人工島は交通状況が悪化しやすい

ただし地元からの反対も強く、初めは誘致に積極的だった知事や市長も慎重姿勢を見せるなど、本格的な誘致には至っていません。
また、中部国際空港や金城埠頭は交通面で混雑しやすい点は課題です。

愛知のカジノ誘致に関する最新情報

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東京

東京都は約1400万人の人口を抱える日本の首都で、首都圏も含めると人口はおよそ3700万人。中国に次ぐ世界最大の都市圏で4位にランクインしているほどの大都市です。
浅草・秋葉原・明治神宮などインバウンド(訪日観光客)に人気の観光地が詰まっており、宿泊施設も豊富にあるのが魅力です。

また、企業の本社や国会、皇居など日本の中心地としての機能も備えているので、MICE施設で行われる大規模イベントとの相性も、申し分ありません。
さらに、羽田空港・成田空港といった国際空港や、高速道路・鉄道など海外と日本全国を結ぶ交通アクセスに優れているので、IRに訪れた観光客を全国に導くことも可能です。

そんな東京都がIR誘致に成功した場合、IR施設だけの年間売り上げだけでも約5400億円になると言われています(キャピタル&イノベーション株式会社調べ)。
これはシンガポールやマカオ(いずれも3100億円)以上の経済効果となります。

インフラ・商圏・観光地などバランスよく揃っている候補地ということで、誘致が積極的に進められれば有力候補地の一つになります。

東京の候補地は『お台場』

東京都は、1999年頃という早い段階から『お台場カジノ構想』として石原元都知事がIR誘致を提唱していました。
また、後任の猪瀬元都知事らが積極的にIR誘致を行なっていました。
カジノ法案の成立も元はここから始まっていて、シンガポールで設置されたIR施設も『お台場カジノ構想』からヒントを得ていると言われています。

しかし、舛添元都知事が慎重な姿勢を見せたことから勢いが衰え、外資系企業に候補地であるお台場を7年間貸与してからは、計画が白紙になりました。
後任の小池都知事は、初めの頃はIR誘致に対して及び腰でしたが、現在は臨海副都心の『東京ベイエリアビジョン』を打ち出し、前向きに取り組まれています。
候補地はやはり当初のお台場が一番有力ですが、計画が何度か頓挫していたため他の候補地と比べると誘致レースに若干出遅れが生じています。

東京の強みと課題点

【強み】

  • 経済規模は日本最大の都市
  • 観光客の訪問数もトップクラス
  • インフラがあらかじめ整っている
  • 日本全国に旅行客を運ぶ手段がある

東京はやはり交通手段や整ったインフラ、周辺地域の商圏の充実、観光地の充実など、IR設置によって経済効果を生み出す要素が揃っています。
誘致に成功すれば、世界トップクラスの観光地になれる可能性を秘めているのが強みです。

【課題点】

  • 計画進行している大阪・長崎・神奈川には一歩劣る
  • 東京オリンピックに力を注いでいて余力が不足しがち

課題点としては、全国でも早い時期からIR誘致に力を入れてきたものの、知事交代によって勢いが下がり他の候補地に遅れをとってしまっている点です。
また現在注力している東京オリンピックと同時にIR事業を行うだけの余力があるのか?も課題点となります。

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沖縄

日本最西端の島である沖縄は、平均気温が22.7度と1年を通して温暖な亜熱帯気候です。ただし、35度以上の猛暑日になることがほとんどないので過ごしやすいのが特徴。
ハイビスカス・ヤシの木のような熱帯植物や、沖縄の自然が生み出したガマや特殊な生態系が広がっている国内きっての南国リゾート地です。

また沖縄はリゾートとしての適性だけでなく、本州とアジアの文化圏と交流を持ちながら培ってきた独自の歴史があります。
かつて本州や中国などの文化を吸収しつつも独自に『琉球王国』が栄え、首里城や御嶽・守礼門といった歴史的建造物を残してきました。
その中で、宮廷料理や武道・舞踊・音楽・馬術のように宮廷から生まれた様々な文化や芸術は、多くの観光客を魅了しています。

さらに日本に統合されてからは、日本で唯一の地上戦が行われた『沖縄戦』や、日本の70%の米軍基地が設置されている情勢など、国際平和に深く関係する歴史も背負っています。

しかし、このように意義深い観光資源が多いにもかかわらず、外国人観光客数は全体の4%程度と低いのが現状です。
沖縄ではIR誘致によってインバウンドを増加させ、低迷する経済の起爆剤としていくことを目指しています。

沖縄の候補地は『海洋博公園(美ら海)』

沖縄の候補地は、美ら海水族館で有名な『海洋博公園(美ら海)』『普天間基地』が移転した後の跡地ではないかと言われていますが、正式には決定していません。
なぜなら沖縄のIR誘致では、景気の低迷や外国人観光客数の伸び率の悪さだけでなく、政府や様々な意向が絡んでいると考えられているからです。

元々沖縄では、石原元都知事が1999年頃に『お台場カジノ構想』を提唱する以前の1992年頃からカジノ導入の動きがありました。

沖縄は観光業以外の産業が非常に少なく、観光収入以外は米軍基地への物資販売や地代などの収入に頼っている部分が大きいです。
県内で米軍基地の移設を求める声も大きいですが、県外へ移設してしまうとこれまでの収入がなくなるため、財政悪化の可能性も否めません。
そのため、自立する手段としてカジノ導入が唱えられてきたのです。

また、政府も沖縄振興策として辺野古への普天間基地を条件に、IRと那覇空港第2滑走路の整備を提唱していました。

仲井真前知事の時代は、経済悪化の懸念からカジノ導入が積極的に勧められており、知事が交代した2015年頃にはUSJが沖縄進出やカジノ参入にも意欲的でした。
しかし、翁長前知事がIRや基地移転に反対したことで計画は頓挫します。

また、中国カジノ企業の『500ドットコム』がカジノ法案成立によって沖縄への参入を狙っていましたが、計画は消滅。
のちに500ドットコムは汚職事件の贈賄側として取り調べを受け、現職議員の逮捕となりました。
さらにIR反対派の玉城知事が当選したことで、住民の反対意見が表面化しました。

沖縄の強みと課題点

【強み】

  • 観光資源が充実している
  • 国内観光客も多く訪れる
  • アジア主要都市からアクセスしやすい

元々観光業が主要産業である点や、観光資源の豊富さ、様々なアジア圏からのアクセス手段が良好な点から、世界トップクラスのIRを設置すれば競争に勝てるだけの土台を持ち合わせています。

【課題点】

  • 何度か計画が頓挫している
  • 知事や地元の反対が強い

IR誘致や普天間基地移設への世論の反対も多く、辺野古に至っては完成間近で打ち切りとなっているので、現時点では誘致の可能性は低いと考えられます。

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神奈川(横浜)【カジノ誘致撤退済み】

神奈川県から候補地として上がっている横浜は、県庁所在地でもあり国内の市町村の中で人口が約375万人と最も多い政令指定都市です。

幕末の黒船来航によって幕府から開港地として指定され、次々に参入する外資によって急速に発展しました。赤レンガ倉庫や横浜中華街と言った観光地や、ランドマークタワーやベイブリッジなど近代的で洗練された施設も多いのが特徴です。

また、国から『環境未来都市』に指定されていて、自然環境に配慮したプロジェクトとして街づくりされている『横浜みなとみらい』は人気スポットの一つです。
もちろん、インバウンドを迎える成田・羽田空港へのアクセスや、ホテルなどの宿泊施設も充実しています。

さらに、横浜周辺には鎌倉・湘南・箱根・富士山といった観光地があり、観光地へのアクセスしやすさも目玉の一つでしょう。
東京のように『一極集中』でなく広い範囲の観光地を周遊できる観光戦略も行うことができるのが、横浜の強みです。

【2021年10月追記】神奈川県は市長選の結果カジノ誘致反対派の人物が当選したため、正式にIR誘致撤退を表明しました。

撤退日:2021年9月10日

神奈川(横浜)の候補地は『山下埠頭』

横浜には、みなとみらいや東神奈川、コットンハーバーなど様々な候補地がありますが、MICE施設や観光地として再開発が検討されていた『山下埠頭』が有力候補地となりました。

マリンタワーや山下公園に隣接する山下埠頭は、横浜港を代表する埠頭の一つで昭和38年に完成しました。主に東南アジアや中近東に向けた貨物船に対応しています。

横浜市では、IR誘致以前から山下埠頭を再開発構想の対象地域(都心臨海部)としてきていて、MICE施設や観光地・商圏開発のための区画整理にも取り組み始めています。今回はその再開発構想案をIR誘致に引き継いだ形です。

しかし、現横浜市長の林文子氏が市長選から2年間はIR誘致を『白紙』としていたところ、2019年8月に突如IR誘致に踏み切ったため、誘致派と反対派は激しく分かれました。
特に、『ハマのドン』として知られる横浜港運協会の藤木幸夫会長は、『カジノなしの横浜港ハーバーリゾート構想』を提唱し、今回のIR誘致に真っ向から反対しています。

神奈川(横浜)の強みと課題点

【強み】

  • カジノ誘致が先行している3都市の一つ
  • 政府が推薦しているエリア
  • 東京に次ぐ経済水準の高い都市
  • 周辺観光地へのアクセス手段が整っている
  • 海外の有力事業者が横浜参入を目指している

横浜は、2015年頃に政府から推薦されたエリアの一つでもあり、米国のIR大手『マリーナ・ベイ・サンズ』や『ラスベガス・サンズ』などが参入を表明している有力候補地です。

※2020年5月13日にラスベガス・サンズは日本へのIR参入を辞退しています。

【課題点】

  • 県内(地元)からの反対が多い

元々IR誘致に対して慎重派だった林市長が一転して誘致表明したことで住民の反発を買い、特に横浜有力者の藤木会長の反対が強く難航しています。
以前まで藤木会長はカジノありのIR誘致に賛成の意向でしたが、ギャンブル依存症の危険性を専門家から学び、反対派となりました。

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北海道【カジノ誘致撤退済】

日本の最北に位置する北海道は都道府県の中で最大の面積を誇り、雄大な自然で亜寒帯独特の生態系が特徴的な地域。広大な自然を楽しめる観光地や、日本の食糧庫としての機能も有しています。
また、『都道府県の魅力度ランキング』で11年間連続1位を獲得しており、移住地・グルメ・観光地として人気も高いです。

対して先住民であるアイヌ民族の長い歴史や北方領土問題など、日本の歴史や平和条約といった、国際的にも意義深い事柄をインバウンドに伝えられる地でもあります。

ただし、北海道は首都圏などへの人口流出が続き、国内市場の減少や公共投資などの依存度が高く、民間活力などが乏しいなどの問題点がありました。
そこで、地方創生の切り札として観光業によって地域活性化を促すことを目的に、IR誘致を積極的に行なっていました。

その中で候補地として上がっていたのが、アイヌ文化が根付く釧路や、既にリゾート地としての実績がある留守都村、そして苫小牧市です。
特に、苫小牧市はアクセスの良さや良好な気候条件から、有力な候補地として上がっていました。

しかし、環境に配慮しながらのIR設置が不可能だということで、北海道自体が誘致レースから正式に撤退を表明しました。
また、2019年12月に現職議員が逮捕された汚職事件が北海道に絡んでいたこともあり、北海道がIR誘致に再度参入するかは不透明です。

撤退日:2019年11月29日

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千葉【カジノ誘致撤退済】

『東京ディズニーランド』『鴨川シーパーク』など、テーマパークやMICE施設が充実している千葉も、以前はIR誘致を行なっていました。

千葉県の中でも候補地となっていたのは『幕張新都心』です。
幕張新都心は、成田空港・羽田空港のほぼ真ん中に位置し、各空港や東京都内から車で30分程度で行き来できるアクセスの良さが魅力。
都内へ通勤するワーカーの衛星都市であり、数多くの企業や商業施設も立ち並ぶビジネス街としての機能も備えています。
また、千葉ロッテマリーンズの本拠地である『千葉マリンスタジアム』やMICE施設である『幕張メッセ』などを有し、東京オリンピック・パラリンピックの競技会場にも指定されました。

千葉ではMICE施設やホテル、様々な商業施設やアミューズメント施設など、幕張新都心が持つ魅力を最大限に活かして発展につなげるべく、慎重ながらもIR誘致を行なっていました。

しかし、台風被害の復旧を優先するためIR開発に十分な時間が取れないことや、IR誘致による経済効果などを総合的に見直した結果、誘致を見送る形となりました。
『今回は見送る』ということですが、完全に撤退したわけではないので今後の同行に注目です。

誘致見送り:2020年1月7日

千葉のカジノ誘致に関する最新情報

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    【まとめ】日本のカジノ候補地は複数あり!候補地決定は2020年以降!

    カジノ法案では、北の北海道から南の沖縄まで複数の候補地が誘致していて、これから誘致レースに参入する地域が増える可能性もあります。
    しかしIR誘致は、併設されるカジノの影響を懸念する反対派が強い地域も多く、知事や市長が慎重姿勢を見せているケースが少なくありません。
    また、新型コロナや災害復興などによって誘致を先延ばしにしている地域もあり、今後の世界情勢によっても候補地の取り組みが変わってくる可能性があります。

    政府では、最大3箇所までの候補地を2022年前後に選定していく予定です。
    それまでに各候補地の賛成派と反対派の対立がどうなるか?どのような事業者を選定するのか?情勢はどう動くか?など、様々な事象が総合的に候補地決定の焦点となっていくと考えられます。

    この記事のおさらい
    • これまでに参入意欲を示した候補地は9箇所
    • 北海道は誘致を断念し、千葉は誘致を見送った
    • これから新たな候補地が出てくる可能性もある