カジノ法案のメリット

2016年12月、ついに日本初となるカジノ法案(正式名称『Intergrated Resort 推進関連法案』通称『IR推進法』)が成立・施行されました。

この法案は『観光先進国』としての経済復興に向けて、国のプロジェクトで統合型リゾート(IR)設置を推進していくものです。

統合型リゾートの運用費の収益源として施設全体の3%にカジノ併設が認められているため、カジノ法案とも呼ばれています。つまり、カジノ併設が認められているのは認定されたIRのみであって、市街地にカジノ設置が認められるわけではありません

今回は、この法案の成立によって日本にどのようなメリットを与えるのか?について詳しく解説していきます。

この記事を読んだらわかること
  • カジノ法案のポイント
  • カジノ法案声率で日本が得られる3つのメリット
  • 海外のカジノ誘致成功例

カジノ法案成立による3つのメリット

カジノ法案の3つのメリット

カジノ法案成立で得られるメリットは、
観光客の増加やそれによる税収増インフラ整備地域の活性化などが挙げられます。
これらのメリットについての詳細を解説していきましょう。

観光客増加による経済効果

政府がIR設置を進める一番の目的は、海外からの観光客(インバウンド)増加による経済対策です。

日本は『観光先進国』による経済成長に取り組んできた結果、インバウンド数が年間3,200万人以上に増加しました。

インバウンドが増加することで、宿泊・食事・移動・観光・買い物など多くの旅行消費が行われるため、それによる経済効果が現れてきています。
また、帰国後も越境EC利用での輸出増加や外資系企業の投資が活発化したりと、日本経済の起爆剤になっています。

しかし、観光客数トップを誇るフランス・イタリア・米国などと比べると、日本はインバウンド数に倍以上の開きがあり、まだまだ日本の魅力や観光地としての認知度が不足しているのが現実です。

IR事業で世界の人が楽しめる場を提供しながら日本の魅力を紹介すれば、リピーターや認知度向上に繋がり、さらなる観光客増加を促しながら経済効果を高めることも期待できるのです。

大和総研の試算によれば、3箇所のカジノ建設・運営で一次的に得られる経済効果だけでも2兆円以上となると予想されています。

インフラ整備が地域の活性化に繋がる

IR設置は、ただ設置した観光地域だけに経済効果があるわけではありません。

日本政府が進めているIR法案や政府資料には、全てに『IRを拠点として日本の魅力を世界に伝え、全国各地に観光客を送り出す』旨が記されていて、日本各地へのハブ機能を備えることが重視されています。

つまり、IR施設でインバウンド誘致を行うとともに、VR技術など様々なアイデアで地方文化の紹介をして日本の魅力に気づいてもらい、日本の旅のゲートウェイ機能によって全国各地へ観光客を送り出すという大きな目標があるのです。

このゲートウェイ機能により、鉄道などの交通網新設やインバウンドを受け入れる地域の設備投資といったインフラ整備や、それに伴った雇用の増加で、地域経済の活性化に繋がることが期待されています。

社会の財源確保

IRによってインバウンドが増加すれば税収が増加し、社会財源の確保から社会保障に繋がる可能性も高まります。

例えば、日銀の大阪支店営業グループの調査では、関西全体の人口が減少していてもインバウンドによって消費が増加したと報告されています。

また観光庁の『観光白書』でも、インバウンド帰国後の越境EC利用や外資系企業の投資で、旅行消費には直接計上されない経済効果が4兆円を超えることが報告されました。

少子高齢化が進み社会保障費の増大などによって財政赤字が進むも、税収の低迷に苦しむ現在の日本において、風向きを変える大きなキッカケとなる可能性は高いでしょう。

海外のカジノ誘致成功例

ここまでカジノ法案によるメリットを紹介していきましたが、IR設置によって本当にそういったメリットが実現するのか、想像しにくい人もいるかもしれません。

ここからは海外の成功事例を元に、カジノ誘致によってどのような恩恵が得られるのか、具体的に紹介していきます。

シンガポールにおけるカジノの誘致例

屋上プールで有名なシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズ

シンガポールは民間企業が事業者となり、インバウンド増加やそれによる経済効果、そしてアジアと欧米のハブ機能を目的としてIRを設置しました。

日本でこれから設置されるIR施設は、現在大成功を納めているシンガポールのIR事業を参考にしたものだと言われています。

しかし、実際はシンガポールのIR事業も、1999年に石原元都知事が提唱した『お台場カジノ構想』をヒントにしたものでした。
『お台場カジノ構想』によって日本に多くのインバウンドが流れるのを懸念したシンガポールが、その構想案を研究し、急ピッチで2つのIR施設を開発したのが始まりだったと言われています。

上記のIR施設は、その中の1つである『マリーナ・ベイ・サンズ』です。
現在の日本のIR構想のように、MICE施設や商業施設・ホテル・プール・美術館・博物館など、ギャンブル要素がない施設をメインとし、その一部にカジノを併設しています。

シンガポールでは、2010年のIRオープンを皮切りに観光客数が一気に増加しました。
2013年には6割増の1550万人、観光収入が8割増の1兆8400億円となり、2つのIR開発によって民間投資が約1兆円となるなど、建設段階での経済効果も現れています。

また、国際イベントや大規模研修ツアーなど、様々なビジネスイベントの誘致にも成功しています。

シンガポールのカジノ一覧

マカオにおけるカジノの誘致例

贅沢な高級感が漂うマカオのザ・ヴェネチアン・マカオ・リゾートホテル

アジアのカジノ成功例で忘れてはならないのが、『東洋のラスベガス』とも呼ばれる『マカオ』です。

マカオは元々ポルトガルの植民地で、香港での賭博が禁止されていたことも影響し、1962年のスタンレー・ホーによるカジノ独占運営権によって、古くからカジノが運営されてきた国でした。
1999年にポルトガルから中国に返還されてカジノ独占も2002年に終了しましたが、中国政府のリゾート計画によって経営権の国際入札が行われ、カジノリゾート開発が本格化しました。

その結果、観光客数が2000年の800万人から2012年には2800万人へと増加2013年にはカジノ収益がラスベガスの5倍以上となり、世界でも有数のカジノ発展エリアとして成長しました。

中でも、上記画像の『ザ・ベネチアン・マカオ』はマカオのコタイ地区でオープンした最初のIR施設の一つで、世界最大級となっています。
このIR施設は、運河や観光用のゴンドラ、ショッピングが楽しめるストリートなど全敷地がベネツィアをイメージして作られていて、子供も楽しめる遊戯施設なども設置されています。

マカオではこの他にも30以上のIR施設があり、それぞれの施設に特徴があります。以下のリンクで詳しく紹介しているので、チェックしてみてください。

マカオのカジノ一覧

【まとめ】カジノ法案は日本の経済発展に貢献する可能性が高い

カジノ法案は、『カジノを合法化』するというイメージが持たれがちですが、実際はカジノが合法化されるわけではありません。政府公認のリゾート地に設置されるカジノのみ例外的に許可される法律になります。
またIR施設設置も、インバウンド増加による旅行消費の活性化日本のイメージアップに繋げるのが目的です。

日本は、独自の文化・高品質な接客・整ったインフラ・清潔で安全性の高い環境など、世界でも類を見ないほど『観光先進国』としての魅力を備えた国
IR設置によって、そういった魅力をまだ知らぬ世界の人々へ日本の魅力を伝える機会を作り、日本の経済発展に貢献することが期待されているのです。

この記事のおさらい
  • カジノ法案はインバウンド増加による経済効果が期待できる
  • インフラ整備によって地域活性化が期待できる
  • 税収増による財源確保が期待できる