大阪IRの年間売上は皮算用と専門家が指摘!地盤問題など懸念材料が拭えない状況

大阪IRについて、区域整備計画では年間5,200億円(うちカジノ4,200億円)の売上を見込んでいるものの、収益の根幹が揺らいでいることが指摘されています。

地盤沈下の問題も費用分担は不透明な状態が続いており、懸念材料が増えているのは確かです。

今回は大阪IRが抱えているリスクについてまとめていきます。

大阪IR計画は環境変化に対応できていないと専門家が指摘

大阪IRは年間売り上げ5,200億円(うちカジノ4,200億円)を見込んでおり、約8割がカジノによる収益と想定されています。

カジノは世界的に見ても大きな売上を見込める事業ですが、今年3月にマカオを訪問した静岡大学の鳥畑与一教授は「マカオの富裕層向けカジノはガラガラだった」と述べています。

中国は現在マカオの規制強化に動いており、海外でギャンブルをする富裕層が激減しているためです。これを受け、マカオ政府はIR事業者に脱ギャンブルを要求。IR事業者はカジノ以外の設備に9割以上の予算を投資する計画を提出しました。

大阪IRは上記のような環境変化に対応できていないことから、年間売上の予測は「捕らぬたぬきの皮算用」と鳥畑氏は指摘しています。

日本でIR誘致を成功させるためには、世界情勢に合わせた柔軟な対応が必要になるでしょう。

地盤問題は不透明な状態が続く

大阪IRは地盤問題も未だに解決していません。IR予定地の夢洲は土壌に問題が見つかったため、788億円の公費を投入して土地改良が実施される予定です。

しかし、公費には地盤沈下対策は含まれていません。大阪市は公費の支出によって8年ぶりの赤字を出しており、地盤沈下対策も公費で賄うとなると、地元住民にはさらなる不満が募るでしょう。

地盤沈下対策の費用分担は未だ不透明な状態が続いています。大阪市は「市が費用負担をすることはない」としていますが、事業者は「今後の調査結果によって課題が出てきた場合は対応を見極める必要がある」としており、双方の意見が噛み合っていない状態です。

大阪府の吉村知事は、7月19日の記者会見で地盤沈下の費用について「方向性が大きく変わることはない」とコメント。公費で賄うことを否定しました。