賛否両論の大阪IR!専門家は「推進派も反対派も過大評価」と指摘

4月に国からの認定を受けた大阪IRですが、地元住民や政治家の間では未だに賛否両論の声が渦巻いている状況です。特に反対派の声は根強く、住民訴訟や反対署名を集める活動などが行われています。

そのような中、海外のカジノに詳しい京都大公共政策大学院名誉フェローの佐伯英隆氏は「推進派も反対派もカジノを過大評価している」と指摘しました。

大阪IRがどのように過大評価されているのか、IRを取り巻く状況についてまとめていきます。

大阪IRの整備計画に見られる問題点

現状の区域整備計画は、カジノによる売上が過大評価されていると佐伯氏は指摘します。

大阪IRの区域整備計画によると、年間売上額の約8割に相当する約4,200億円はカジノで賄う予定です。しかし、IR整備法などに基づき、カジノの領域はIR総面積の3%未満に過ぎません。

また、IRへの年間来訪者数のうち約7割が日本人と想定されていますが、日本人は入場料や回数制限などの規制が掛かります。そのため、真新しさが無くなるとカジノへの足が遠のく可能性は高いです。

一方、外国人観光客はカジノへの入場規制が一切掛かりません。しかし、外国人観光客の多くは日本にしかない和の文化を楽しむことが目的と推測されるため、カジノの需要は低いとも考えられます。

IRのリピーターを増やすためには、カジノ以外のコンテンツにも力を入れ、目玉となる施設を増やす必要があるでしょう。

IRによるギャンブル依存症の急激な増加は考えにくい

IR反対派の政党や地元住民は、反IRの理由の一つにギャンブル依存症の増加を挙げています。

ギャンブル依存症は一種の病気であり、対策をしなければならない問題であるため、大阪府・市も依存症対策センターの設置や入場規制などを行う方針です。

反IR派の市民団体は「対策が十分ではない」と主張していますが、日本にはパチンコや競馬などのギャンブルがすでに溢れています。そのため、入場規制の厳しいカジノができたたけでギャンブル依存症患者が急激に増加するとは考えられません。

以上のことから、反対派もカジノの影響力を過大評価していると佐伯氏は指摘します。

しかし、ギャンブル依存症対策は国からの課題でもあるため、大阪府・市は今後も実効性のあるギャンブル依存症対策を検証していく予定です。