大阪IRで未だ解決しない地盤沈下問題、費用負担の増加が懸念される

大阪IR用地である夢洲は、以前から地盤に関する問題が多々取り上げられています。その中でも、地盤沈下に関する問題は未だに解決していない状態です。

IRと同じく夢洲で開催予定の大阪万博も関連工事の事業費上振れが続いており、IRも公費負担がさらに増えるのではないかと懸念されています。今回は、大阪IRの地盤沈下問題についてまとめていきます。

大阪IRが負っている地盤沈下のリスク

大阪IRの建設予定地である夢洲は、もともと廃棄物を埋め立てて作られた人工島です。莫大な公費を投入して作られたにも関わらず、全く活用されていなかった夢洲はかつて「大阪の負の遺産」と呼ばれていました。

現在はIRや大阪万博の開催地として注目されていますが、夢洲は観光や集客を想定して作られたわけではありません。そのため、有害物質や液状化、地盤沈下など多数の問題を抱えています。

土壌改良や液状化対策などの費用は、788億円を上限に公費で負担することが既に決定していますが、その中に地盤沈下対策費は含まれていません。

これに対しIR推進局は「IR施設の建設に必要な地盤沈下対策は事業者が実施する。通常の想定を著しく上回る大規模な地盤沈下や陥没が生じた場合を除き、市は費用を負担しない」と説明しています。しかし「通常の想定」の定義は細かく決められておらず、不透明な状態です。

また、万が一巨大地震などの災害が起きた場合、海に隣接する人工島の夢洲は大規模な被害を受けることが想定されます。

上記のように夢洲の地盤には多数のリスクがあることから、IRで想定している高層階のホテルや巨大ホールなどを建てても安全なのかどうか、疑問の声が上がっています。

地盤沈下費用が増額する可能性

先述した通り、地盤対策に関する公費負担は788億円を上限としていますが、実際に工事が始まると費用が増額するのではないかと懸念されています。なぜなら実際に工事が行われている大阪万博において、事業費の上振れが相次いでいるためです。

また、今年の9月に大阪市からも「IR事業者が開業後に施設を拡張する際、土壌対策が必要と判断した場合は約257億円の公費負担を見込んでいる」と発表されています。

IRが開業してからの工事費用は基本的に売り上げから賄われる予定ですが、集客に失敗して赤字になれば税金が投入される可能性もあるということでしょう。

地元住民からの批判の声が根強い大阪IRですが、公費負担が増額すれば市民からの不満の声がさらに高まると予想されます。