大阪IRと万博の同時工事に懸念、万博運営からは「万博最優先で」との声も上がる

9月に事業者との実施協定案を締結し、工事の具体的なスケジュールを組み始めた大阪IRですが、2025年に開業する大阪万博との同時工事を不安視する声が上がっています。

大阪万博を巡っては、海外パビリオンの工事が当初の予定よりも遅れており、予定通りに開催できるかどうかが危ぶまれている状況です。今回は、大阪IRと万博の工事の問題点などについてまとめていきます。

大阪万博の工事遅れがIRの工事にも影響か

大阪IRの予定地である夢洲では、現在2025年の万博開催に向けて工事が進んでいます。しかし、海外の国が出展する「海外パビリオン」の建設工事の契約が未だに決まっておらず、開催まで間に合うのかどうか危険視されている状況です。

早急に建設工事契約を締結して工事を進めなければならない中、大阪IRの液状化対策工事が2023年秋頃から始まろうとしており、同時工事を不安視する声も少なくありません。

さらに来年夏頃から大阪IRは施設の建設工事に着手する予定としており、万博の工事のピーク時期とも被ってしまうのではないかと言われています。

夢洲への資材搬入ルートは橋とトンネルの2本しかないため、同時工事が行われるとなると渋滞や混乱などが予想されます。

万博を運営する日本国際博覧会協会は「万博を最優先で進めさせてほしい」と訴えていますが、大阪IR推進局がどのように対応するのか、公の場では発表されていません。

大阪IR事業者には契約解除の選択肢も残されている

大阪府・市は事業者と実施協定案を結んだものの、事業環境が整っていないことなどから、事業者側は令和8年9月までは契約解除する権利が付与されています。そのため、同時工事による開業遅れなどが生じれば、事業者が契約解除する可能性もあるでしょう。

大阪万博の工事が遅れている原因として、資材価格の高騰化や夢洲に向かう資材搬入ルートの少なさなどが挙げられます。これらの問題は、大阪万博の工事が終わった後も解消される見込みは今のところありません。

他にも資金調達や土地開発、観光需要の回復状況など、大阪IRが解決しなければならない問題は山積みです。もしも問題解決に至らなかった場合、大阪IRの計画が頓挫してしまうということも十分有り得るでしょう。