大阪IR用地の鑑定額が4社中3社で一致したことに疑問の声が挙がる

12月15日、IR用地である夢洲の不動産鑑定結果を大阪市が公表したところ、4社中3社で鑑定額が一致していることが発覚しました。

大阪市議会では鑑定結果を疑問視する声が続出するも、大阪市は疑惑を否定しています。不正の疑惑が挙がった理由や、大阪市側の説明についてまとめていきます。

鑑定額の一致に市議会から「不自然」の声

大阪市は、大阪IRの事業予定者である「大阪IR株式会社」に対し、35年間にわたり夢洲の土地を貸し出す予定です。賃料を積算するため、大阪市は全4社に不動産鑑定を依頼。その結果、4社中3社が「1平方メートルあたりの月額賃料は428円」との結果を出しました。

この結果に対し、大阪市議会では「3社で一致するのは不自然」「恣意的な誘導があったのではないか」と疑惑の声が続出。鑑定額は事業者によってバラバラになるのが通常であり、3社で全く同じ結果になる確率は極めて低いためです。

疑問の声を受け、鑑定業者は「IRは国内に前例がなく、大型の商業施設を建てるときの鑑定額を参考に評価した」と説明しています。

つまり「IRを考慮せずに鑑定したため、想定よりも鑑定額が安くなっている」ということです。

しかし、前例がないことを踏まえても1円単位での一致は不自然であるため、市議会は「事業者を優遇するため、不当に安くしているのではないか」と疑問視しています。

大阪市は「鑑定に問題はない」と疑惑を完全否定

資料の公表があった12月15日、夢洲を所管する大阪港湾局は記者会見を開き「確認手続きを踏んでいるため、鑑定に問題はない」「鑑定額は偶然の一致」と回答しました。

同日に大阪市の松井一郎市長も定例会見を開き「信頼できる鑑定業者に依頼をした」とコメントした上で、「恣意的な誘導が発覚したときは、来年分の報酬を全て返上する」と宣言。

市議会からの疑惑を完全に否定する様相を見せました。