マカオ「脱カジノ」を目指し2兆円の投資を表明するも、転換まで難航の見通し

中国で唯一カジノが合法化されているマカオですが、現在「脱カジノ」による「観光地マカオ」への転換を目指しています。投資金額2兆円のうち9割を非カジノ分野に充当するなど計画は進んでいるものの、脱カジノは難航している状態です。

今回はマカオの脱カジノ契約や、難航している理由などについてまとめていきます。

マカオ政府がカジノ依存からの脱却を表明

マカオは現在「脱カジノ」を掲げ、カジノのマカオから観光地マカオへの転換を目指しています。

マカオが脱カジノを目指す理由は、カジノで億単位の金額を使う富裕層のカジノ離れが続いているためです。中国政府の締め付けや監視などが厳しくなったことが原因で、富裕層の需要は年々下がっています。

新型コロナウイルスが流行する2019年以前、マカオの域内総生産(GDP)のカジノ関連比率は約5割を占めていました。マカオ政府はカジノ依存による経済は危ういと考え、2028年までには約4割に引き下げる方針です。

しかし、マカオは今まで富裕層需要によるカジノで経済を回してきたため、カジノ以外の収益の柱を作るのに難航しています。

コロナの制限緩和されて観光客は戻りつつありますが、そのうちの約9割が中国本土や香港からの観光客です。

中国人にとって「マカオはカジノを楽しむ場所」として最適化されており、外国人観光客に「観光地マカオ」としての訴求がしにくいことも、脱カジノが難航している原因の一つでしょう。

非カジノ分野へ2兆円の約9割を投資

マカオでカジノ運営免許を維持している6社は、10年間で2兆円を投資することを表明しました。2兆円のうち、約9割は非カジノ分野に充当される予定です。

具体的には、ファミリー層を対象にした遊園地や劇場、大型の会議場などが新たに整備されます。また大型展示会やエンターテインメント、スポーツイベントなど新たな分野に焦点を当てることによって国際的なイメージを高め、観光都市への転換を目指すとしています。

一方、ファミリー向けではないカジノへの監督は強化し、健全で秩序のある発展を確保すると表明しました。

マカオは新型コロナウイルスの影響によって外国人観光客の数が激減しており、2023年に入ってから徐々に回復しつつあります。

観光都市化への転換が成功するかどうかは、カジノを目的としない外国人観光客をどれだけ呼び込めるかが鍵になるでしょう。